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1900年の少し前、パスクアーレ・ヴィナッチアが現代のマンドリンの基礎にあたる楽器を発明し、その構造が現在にも引き継がれています。ギアの付いた糸巻でスチール絃を張れるようにし、音量と表現を飛躍的に向上させました。その後イタリア全土で広がったマンドリンの大ブームは近隣国のフランスなどにもひろがり、現代のマンドリンが多くの人に愛された時代ができました。その時代に製作されたマンドリンをオールド・ヴィンテージと呼び、その音色は垂涎の的になっています。ヴィナッチア、カラーチェ、エンベルガーのように当時銘工と呼ばれた製作家から、その弟子たち、または独自の世界を作り上げた製作家たちの楽器をご紹介いたします。 |
![]() パスクアーレ・ヴィナッチア |
18世紀の初頭に楽器製作をはじめたヴィナッチア家はアントニオの時代には有名メーカーとなっていました。その後パスクアーレが現代のマンドリンの基礎にあたる楽器を発明し、その構造が現在にも引き継がれています。ギアの付いた糸巻きでスチール弦を張れるようにし、音量と表現を飛躍的に向上させました。パスクアーレの息子たちジェンナロとアキッレは「Fratelli Vinaccia[ヴィナッチア兄弟社]」として製作を継ぎ、王室御用達のイタリア随一の名門メーカーとして黄金期をむかえます。この時期に多くの弟子をもったヴィナッチア家はその後ジェンナロの息子ガエターノに引き継がれます。ガエターノは当時の著名な演奏家のためのモデル"Tipo Rocco"や、裏ボディの構造を改良し特許を取った"Brevettato[ブレヴェッタート]"、ヘッドデザインにフィギュアヘッドをあしらった楽器など多くのモデルを製作しました。戦争の混乱にヴィナッチア家は途絶えてしまいますが、今は亡き名門メーカーとして現在も高く評価され、垂涎の楽器としてあこがれのオールド・ヴィンテージ楽器となっています。 1900年前後に製作された音の伸び・粘りのあるヴィナッチアを前期、ガエターノが合奏にも対応できるパワフルな音色の楽器を意識したヴィナッチアを後期、として分けられたりもします。 在庫・詳細は→こちら |
1894年 Gennaro & Achille |
1894年 Gennaro & Achille |
1924年 Fratelli |
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![]() ラファエレ・カラーチェ ![]() |
ラファエレ・カラーチェ(1863〜1934)は作曲家、演奏家、製作家として多岐にわたって活躍し、マンドリン界に多大な功績を残した人物です。作曲家として200曲あまりの作品と教則本、演奏家としては世界的なヴィルトゥオーゾとして活躍し、日本でも大正13年(1924年)に来日し、摂政宮(昭和天皇)のために御前演奏もしています。そして製作家としては独自の改良を重ね、楽器としての機能を発展させるなどマンドリン属の楽器の発展に大きな影響を与えました。カラーチェ抜きにはマンドリンは語れないといっても過言ではないでしょう。マンドリンを製作し始めた初代アントニオから息子たちニコラとラファエレに引き継がれます。その後ラファエレによって工房を継続され名門ヴィナッチア家と並ぶ一流工房へと発展しました。そして現在もなお、イタリア最大のメーカーとして、世界のトップメーカーとしてカラーチェのマンドリンは愛奏されています。 モデルはNo.シリーズからはじまり、“No.1”"No.1bis“"No.2”"No.2bis“シリーズ、“No.22""No.23”のグループ、“No.24”“No.26”のさらに上位モデル、“No.13”“No.15”“No.16”“No.16bis”の現在も共通している装飾の華やかなモデルとなっていきます。1924年にカタログ化されてからはクラシコモデルがうまれ、“クラシコA”“クラシコB”“クラシコC”となります。また1900年頃に当時のトップモデルとして製作された"model No.900 Brevettato"という楽器も存在します。 サウンドは現在でも通じるがっちりとしたボディから生まれるパワフルで遠達性の強い音色は上位下位モデル問わず合奏シーンに大きな力となっています。勿論その遠達性はアンサンブルやソロにも文句なく、カラーチェ作曲の作品などは特に向いている音色です。 在庫・詳細は→こちら |
1894年 Nicola & Raffaele |
1911年 | 1926年 No.22 | |
1911年 | 1924年 No.22 | 1931年 No.22bis |
![]() ルイジ・エンベルガー ![]() エンベルガー工房の様子 |
ルイジ・エンベルガー(1856〜1943)はイタリア中部のアルピノという町で家具メーカーを営むピエトロの長男として生まれました。ローマでマンドリン製作を学び、その後故郷アルピノで工房を開きます。そしてローマにも工房を構えその住所で販売を行っていました。「マンドリンのストラディヴァリ」と評されたエンベルガーの楽器はいわゆるローマ型マンドリンと呼ばれ、ボディとネックの接合部分の絞り込み形状や、裏ボディのリブの細かさ、上位モデルNo.5bisのようなシックル(鎌状)のヘッドなど美しいシェイプが特徴です。エンベルガーの楽器は、多くのマンドリニストに愛されシルヴィオ・ラニエリ,マリア・シヴィッターロ,ジュゼッペ・アネッダなどの当時の一流奏者が使用していました。エンベルガーの死後は甥のベネデット・マチョス、弟子のドメニコ・チェルローネと引き継いでいき、ドメニコの死後は息子のジャンニーノ・チェルローネが工房を継ぎ、製作を甥のパスクアーレ・ペコラーロが担当しました。チェルローネが工房を閉じることで「ルイジ・エンベルガー」はなくなりますが、ペコラーロが1987年まで製作した楽器がエンベルガーの系統の楽器として日本で販売されていました。 モデルはスチューデントモデルとして作られたシリーズでシンプルなデザインの"Tipo A"、華やかに装飾が施されている"Tipo B"、そしてコンサートモデルとしてNo.1〜No.8までモデルがあります。"No.4""No.7""No.8"のモデルは製作数が少なく殆ど見ることがありません。 サウンドはネックのジョイント部付近のボディがシェイプされかなり小振りなボディからは想像できない芯のはっきりした遠達性の強い音色が特徴です。ネック形状・指板なども細く、細やかなパッセージを弾くのに有利です。後年の楽器ペコラーロの楽器は、ボディサイズなど現代の楽器ほどになりますがその分パワーがつき、よりパワフルに演奏される方と相性が合う楽器です。 在庫・詳細は→こちら |
1939年 Tipo A | |||
1972年 No.6 Pasquale Pecoraro |
1976年 No.3 Pasquale Pecoraro |
19世紀後半〜20世紀前半にかけて、イタリアでは空前のマンドリンブームであり、このころにヴィナッチア、エンベルガー、カラーチェ等の銘工たちの作品はマンドリニスト達の憧れることになりました。そしてその銘工にあこがれ工房で腕を磨き独立した製作家たちもたくさんいました。特に名門ヴィナッチア家で腕を磨いた弟子たちは独立後も「Allievo
dei Vinaccia(ヴィナッチアの弟子)」と楽器ラベルに自分の名前とともに記し製作していました。ヴィナッチアの工房で働いていた際はヴィナッチアを製作していた一人ですので独立後の楽器もヴィナッチアのエッセンスが感じられる楽器が多くみられます。 Gennaro Rubino[ジェンナロ・ルビーノ]、マラテアファミリー[ミケーレ,ドメニコ,ラファエレ],Pasquale Angara[パスクアーレ・アンガラ]&Pasquale d'Isanto[パスクアーレ・ディサント]の共作などがとくに高弟といわれた弟子たちとなります。 在庫・詳細は→こちら |
1870年イタリアのローマに生まれ、ローマ型のマンドリンの製作を学んだ後にフランスに移り、パリで1950年代の中頃まで製作を行っていました。「フランスのエンベルガー」と高く評価されていたため、ルイジ・エンベルガーの弟子と言われることもありますが、実際に師弟関係があったかどうかは資料がないため不明です。エンベルガーのNo.5bisモデルのようにシックル(鎌状)フォルムヘッドの最上位モデルから、装飾が無くシンプルなのエントリーモデルまでラインナップがあり、非常に多くの楽器が存在しています。またハープギターなどの多絃楽器や、フラットマンドリン、さらにはヴァイオリンまで製作されており、楽器工房としてかなりの規模であったと思われます。 楽器の特徴としてはメイプル材を使用した軽いやや薄型のボディで、鳴らしやすくボリュームがあり、それでいて芯のしっかりした音色。女性に人気の楽器の代名詞と言われていましたが現在ではアンサンブル、合奏など演奏シーンを問わず、扱いやすい楽器として人気があります。 在庫・詳細は→こちら |
1928年 |
表面板を2枚板構造にした楽器でエジルドとともにフランスを代表するブランドとして名前が知られていました。この構造を発明した人物がルシアン・ジェラで、パリで特許を取得しました。ルシアン・ジェラは製作はしておらず、その特許を元にTheodore
Gaude[テオドール・ゴデ]が製作、その後J.R.のラベルロゴがあるJean Rovies[ジャン・ロヴィエ]も多数製作しました。個人製作家以外にもLouis
Patenotte[ルイ・パテノット]、Freres Gerome[ジェローム兄弟]などのメーカーも特許をもとに製作しています。 表面板を2枚板構造にする事で、音量が出る楽器で、また音色も独特な箱鳴り音がマンドリンでありながらマンドラのように感じられるふくよかな音色が特徴的です。 在庫・詳細は→こちら |
J.Rovies 1941年 | T.Gaude 1913年 Liuto Moderno |
画像 |
製作家名 製作家名ラベル表記l 製作年 モデル・タイプ 参考価格ランク【★ 〜 ★★★★★】 ★…〜50万円 ★★…51万円〜80万円 ★★★…81万円〜100万円 ★★★★…101万円〜140万円 ★★★★★…141万円〜200万円 ★★★★★★…201万円以上 楽器・製作家説明 |
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